『怒り』
2023/08/26
自分は感情をあまり表に出さない。
どんな状況でも感情をコントロールできる冷静な人間でありたいと思っているし、実際そうしてきた。
どんなに悔しくても、怒りが湧いてきても、それを外に吐き出したりはしない。
代わりに自分の中の深いところで、その悔しさを、怒りを、エネルギーに変える。
思えば悔しいことの多い4年間だった。
コロナ禍での入部、ウインターでの敗北、3年連続でのグループリーグ敗退。
先輩が涙を流しながら引退していく姿を、試合に出ていながらチームを勝たせることのできなかった悔しさと共に、一番近くから見てきた。
幹部になった今シーズンも、たくさんの敗北があった。
悔しさを、自分に対する怒りをいやというほど味わった。
だけど、その度に、怒りをエネルギーに変えて前に進んできた。
勝ちに値するだけの準備はしてきた。そう自信を持って臨んだ早稲田戦で、負けた。すぐそこまで勝利が見えていた最後の１分で、自分が決め切れなかったところから、全てをひっくり返された。
今まで感じたことのない悔しさと怒りが湧いてきた。
非常に切り替えの難しい敗北だった。
家に帰って途方に暮れていると、好きな小説で主人公の放った台詞が頭に浮かんできた。
「人は変えられるのは未来だけだと思い込んでいる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えているんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去はそれくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか？」
明日。法政戦。
自分だけでなく、試合に出られない人、スタッフ、先輩、BBで関わってくれた全ての人の怒りを力に変えて、勝つ。
法政に勝って、プレーオフに進んで、学生日本一になる。
早稲田戦での敗北があったからと言えるように。
これまでの全ての悔しさが、怒りが、あったからと言えるように。
4年MF#9 村上 蓮
