vol.06 4年FO#28 副島直人「晴れ舞台」



晴れ舞台


2021/09/12



出番が来たら胸を張ってフィールドの真ん中へ。 右膝をついて、握りを確認。 肩の力を抜く。お腹に力ををこめる。調子が悪ければ右半身だけ考える。 肩は前に出過ぎてないか?腕は真っ直ぐボールに向かっているか? 笛は聴くけど、待たない。 ただ早く、速く、倒す。 そしてその後のことは何も考えなくていい。

何千回、何万回とやってきたこと。 一瞬の動作の中に、沢山の決め事がある。 一瞬だけど、その一瞬でチームを勝たせることも負かすこともできる。

単純な動きだからこそ奥深い。 四年になってフェイスオフをもっと考えられるようになったから、一年前とは型の拘りも、見えている景色も全然違う。だいぶ勝てるようにもなった。

それでも今でも舟橋さんと岸さんには負けてばっかだし、他大と練習試合しても圧倒できないことばかりだ。 きっと俺より強い人たちは、自分の型にもっとすごい拘りがあるし、何段階も上の景色が見えているんだろうな。 そんな人たちでも自分はまだまだだと言うのだから、やっぱりフェイスオフは、ラクロスは奥が深い。

観察して、考えて、真似して、試して、前進して、後退して。 試行錯誤しながらたまに強くなったのを実感できたとき、とても楽しい。

これまで、そうやって考え続けた中で、俺なりにこれが強いと思うことをとにかく突き詰めて磨いてきた。

世界最強なんて言う自信はまだ無いけど、拘って磨いてきたものは嘘じゃないから、自分史上最強のフェイスオフが間違いなく俺の中にある。

リーグ戦はそれをぶつける場。

何千回、何万回のクランプの答えを、晴れ舞台で発揮する。

そしてそんな俺のフェイスオフがチームを勝たせて、FINAL4、FINALと勝ち進んで、俺の中の最強もどんどん更新されていったりして……、最後にチームも自分も見たことのない景色を見られたなら、最高だと思う。

4年 FO #28 副島直人