vol.06 FAC 笠井一成「5年間のラクロス生活」



5年間のラクロス生活


2022/08/03





正直、引退して自分がコーチに情熱を注げると思っていませんでした。 自分が上手くなったり活躍したりするためにグラウンドに行くならまだしも、自分が教えに行くためだけに駒場に毎日足を運ぶなんて考えられない、と現役の頃から思っていました。

ただ、今は現役の頃よりも早く起きて、現役の頃よりもワクワクした気持ちでグラウンドに向かっている気がします(そんなに堂々と言えることではないですが)。4月の頃は、小早川の圧倒的パッションに触発されて、なんとか自分を奮い立たせてグラウンドに行っているような感覚でしたが、最近その原動力が変化しているのを感じます。

朝6時過ぎに駒場の壁前に行くと、そこには既に栗原と多賀がいて防具をスタイルし、談笑しながらストレッチをしています。B練がない日には髙木もいます。少し遠くから軽く挨拶をして黙々と壁打ちをしています。なぜか分かりませんが、この日常がすごく好きです。1日の初めにエネルギーをもらえた気がします。

そして、それと同時にものすごく大きな責任を感じます。学生日本一を目指すのに申し分ないエネルギーをもった彼ら彼女らを、正しい方向に導いていかないといけない。日本一のゴーリーになりたいと言ってこの部、そしてゴーリーを選んでくれた栗原や多賀を何としても育てないといけないというプレッシャーがあります。僕自身はプレイヤーとして大成できませんでしたが、栗原と多賀にはそうなって欲しくないという思いが強くあります。

だからこそ、栗原や多賀には理不尽なくらい厳しく当たるときもあるし、彼らが自分に負けそうになった時により頑張って欲しいなと思って今は指導しています。

指導するなんて偉そうなことを言っている自分ですが、僕の経験から教えられることはもうじきになくなるでしょう。それほどに一年生の吸収力は凄まじく、一週間も見ないと見違えるように上手くなっています。早く栗原と多賀には、自分で道を切り開いていって欲しいです。そして、そう遠くない未来、「笠井さんの言ってたこと全然違いましたよ。本当はもっとこうで…」とか飯を食いながら言ってくれたら最高です。

サマーまであと1ヶ月、ウインターまで大体5ヶ月。今までの4年間、この組織の中で沢山の人から受けてきたありったけの愛情全てを38期にぶつけて、後悔ない形でラクロス人生を終えたいと思います。

FAC 笠井一成