レバレッジ株式会社 只石昌幸社長 特別対談企画 「レバレッジ只石社長に聞く!VALXの誕生ヒストリーと東大生への期待とは」



レバレッジ只石社長に聞く!VALXの誕生ヒストリーと東大生への期待とは


2021/11/20

話し手: 只石 昌幸 (レバレッジ株式会社代表)
聞き手: 角田 慶季 (東京大学ラクロス部)
(敬称略) (文章:宇佐見)

リード文: 東京大学ラクロス部は、2021年からクラブオフィシャルパートナーとして株式会社レバレッジ様よりご支援をいただいています。今回は、特別コラボ企画として、レバレッジの創業ヒストリーと同社 只石社長の仕事の哲学、そして今後社会に飛び立つ東大生に期待することについてお話を伺いました!


苦難の連続だった創業前夜――只石社長の仕事の哲学”TTK”とは?

角田: 本日はよろしくお願いします!只石さんは昨日がお誕生日でしたね。おめでとうございます!

只石: ありがとうございます。46歳になりました。

角田: 見た目、お若いですね。

只石: VALXプロテインのお陰だよ(笑) 。でも、正直なところ、本気で僕は「今が一番若い」と思っている。未来、これからの僕から今日を考えるとこれからの人生の中で今が一番若いんだよね。さらに、僕の場合は筋肉量も今が一番あって、ずっとやっている極真空手にしても戦ったら、3年前の僕より、今日の僕の方が絶対強いと思うよ。 ビジネスもそうで、今の方が知見もあるし、友達も沢山いて人脈もある。だから、今の方がビジネスもしやすい。今が今までで一番できることが沢山ある有利な状況だとも思っているかな。

角田: ずっとピークを更新し続けているのですね。

只石: そう。君たちラクロス部だって、数年前に始めたときより今の方が絶対に技術がついているでしょ?つまり、年齢的な若さは関係ないってことなんだよね。

角田: 只石さん自身もずっと成長を続けているということだと思うのですが、そういった中でVALXブランドの成功の秘訣や原点にあったのはどういったものだったのでしょうか?

只石: 一言で言えば”TTK”だね。「徹底的に聞く」で”TTK”。 「徹底的にパクる」で”TTP”っていうのはマーケティング界隈では、よく言われるけど、それには限界があると思っている。だって、1つのものだけを表層的に見て真似てみても本質まで真似ることは難しいし、真似する対象が1つしかないと薄っぺらいものしか再現できないんじゃないかな。だから、徹底的に、数多く聞く。あらゆる角度から、あらゆる会社に対して、あらゆる担当者に。 VALXをはじめるってなったときに、通販なんてやったことないし、すべてが初体験。だから、徹底的に聞いたよ。どのレベルで聞いたかと言うと、「どの工場でどうやって作るの?」という1つの悩みに対して、すでにやっている会社の人10人くらいに。物流だけでも5人とか。だって、1社しか聞かないと、例外もありそうだし、その会社だからうまく行ったことって再現性も低いからね。基本、僕は臆病なんだよ。臆病だから、聞いても聞いてもまだ聞きたい。失敗したくないから。

角田: “TTK”という哲学はどこで身に着けたものなのでしょうか?

只石: 僕は、新卒でキーエンスという会社に入ってドロップアウトして、そのあと何を思ったのかホストをやって、それでもうまくいかなくて。無職になったときに、自己分析をした。方法はシンプルで、自分の成功パターンと失敗パターンをノートに書き出してみたんだよね。どうして群馬県でトップの高校に入れたのか、どうして大学に入れたのか、どうしてキーエンスに入社できたのか。一方で、どうしてキーエンスに入ったのに上手くいかなかったのか、どうして自分の意思でホストになったのにうまくいかなかったのか、どうしてこんなにお金がなくて困っているのか、という具合に。 そしたら、僕の成功パターンというのは、人に聞いて人を頼って人の言うとおりにやっていたときに方が確実に成功できていた事に気づいちゃったんだよね。高校受験は一流の塾の先生に教えてもらった。キーエンスを受けたときには、72人のOBに徹底的にヒアリングをしてどういう人が入社できて、どういう人が活躍できるのかを聞きまくっていた。起業のときも聞きまくったよ。だって何も知らなかったから。でもね、失敗していたときのパターンは、その真逆。例えばキーエンスに入ってからは、上司の話も一切聞かない、質問もしない、同期のいいところを真似しようともしていなかった。ホストクラブでも誰にも頼らず、誰も真似せず。なるほど、僕がうまくいかないのは自分の頭で動いている時だってことに気付いた。たぶん、プライドが邪魔して聞けなかったんじゃないかな。 だから無職でドン底まで落ちたときに、考え方をガラッと変えた。よし今日からは徹底的に質問して、お願いをして、教えを乞うて、言われたことを素直にやろうと決めた。まず最初に行動に移したのは、キーエンスをやめてから連絡していなかった友達に連絡することだった。ずっと、辞めたあと何をやってもうまく行かなかったことを隠して連絡できてなかったんだよね。だからプライドをすべて脱いで勇気を出して連絡してみたんだよね。

角田: 皆さん、まだキーエンスで頑張っていると思っているのですものね。

只石: そうそう。みんなキーエンスで活躍していて、年収は2,000万オーバー。そんな彼らと面と向かうことを、実は避けていたんだよね。でも、勇気を出して僕の現状を伝えみたら、、、びっくりするくらい寄り添ってくれた。あの時は泣けたよ。なんて、みんな温かいんだろうって。そりゃ、もう、いろいろと教えてくれて、人を紹介してくれたり、中にはPCをくれた人もいた。なんでもっと早く聞かなかったんだろうって思ったね。

角田: ご友人が手を差し伸べてくれて、まずは何をされたのですか?

只石: もらった中古のノートパソコンを使ってアフィリエイトってやつをはじめてみたんだよね。まったくわからなかったから自分のない頭で考えるのはやめて、早速アフィリエイトの会社に連絡とってみて、「勉強させてください」って。それでいろいろと実際にオフィスに聞きに行ったら、「あなたみたいに勉強に来た人は初めてだ、あなたは絶対伸びるから、うちで一番稼いでいるアフィリエイターを紹介する」って言われて。それから、そのトップアフィリエイターさんの家にいって、掃除や小間使いをしながらアフィリエイトの方法を全部教えてもらった。それをノートにまとめて、徹底的に真似して、わからなかったら聞いてということを繰り返していたら、すごく伸びて。結果、そのトップアフィリエイターさん以上に稼げるようになったよ。だって、さらに上を目指して、ほかのアフィリエイターさんにも聞きまくっていったからね。

角田: “TTK”で上手くいったということですね。

只石: そう、この成功体験で、「そうか、僕は自分の頭で考えるんじゃなくて人に聞けば聞くほどいいんだ」っていうことを確信した。 次に目をつけたのが、ブログを使ったプロモーションの事業。これもブロガーの人にいろいろなことを聞いて、ライブドアやサイバーエージェントといった運営会社のデータも見て、アメブロにしようと決めた。何をやるかも最初は決まっていなかったけど、すでに成功しているブロガーさんに連絡をしまくって、いろいろと聞いたら、リピート率が大事ってわかって、人間の基本行動である衣食住をテーマにするとリピート率が高いんじゃないかなっていう仮説。そしてグルメブログにしようと決めたんだけど、すでにライバルも多いグルメ部門だから、さらに工夫をして、誰もやっていないことがないかなと考えて思い至ったのが、新規オープンのレストランに特化したグルメブログ。これが、めちゃめちゃ、当たって。しかも、アホみたいにツイていたのが、六本木を歩いていたらサイバーエージェントの藤田さんとばったり遭遇。このワンチャンスにかけようと、「僕を公式ブロガーにしてください!」って、直談判。そしたら、翌日にはアメブロ公式ブロガーになっちゃって、サイバーエージェントもプロモーションしてくれて、Yahoo!のトップニュースに出た時は、瞬間風速だったけど、芸能人も含めて、アメブロ1位になっちゃって。

角田: フィットネス関連の事業を始められたのはいつだったのですか?

只石: 6年前かな。ライザップをはじめとしたパーソナルトレーニングが流行って、徹底的にヒアリングする中で「これは他の人はやっていないしチャンスだ」と思って始めたのが、パーソナルトレーナーのマッチングサービスの『ダイエットコンシェルジュ』。この事業も”TTK”で取り組んで、1年足らずで思い切り伸びた。その後に始めたのが、パーソナルトレーナーの養成スクール。当時、働きながら通える学校がなかったんだよね。学校なんて作ったことないけど、これも聞きまくって、立ち上げたら大成功。聞くって最高だよね。

角田: 常にいろんな人の声に耳を傾けていらっしゃるのですね。

只石: VALXの監修者、山本義徳先生と組んでいるのも、実はパーソナルトレーナーの推薦なんだよ。どうせやるなら最高峰のトレーナーと組んで、プロテインブランドを監修してもらいたいと思ったときに、パーソナルトレーナー700人にアンケートをとったら、なんとほぼ全員が投票したのが山本義徳だったんだよね。

レバレッジでは社長の企画案が通らない!?――”TTK”を基盤にしたレバレッジの合理的経営

只石: 東大生って、地頭が良くて、僕よりもはるかに考える能力があると思う。最高峰の試験に受かった人たちの集団なわけだから。でも、弱点として、頭が良い分、すべて自分でやってしまうところがあると思う。

角田: なるほど。只石さんの場合はどうされるのですか。

只石: まず、「たぶん、僕が考えていることって正しくない」っていうスタートラインから歩み始めるかな。だから、僕の中の仮説の正しさを検証するために、徹底的に聞く。例えるなら、東大生は試験に一人で臨んでいる。一方で、僕は、試験問題をLINEで送りまくって、たくさんの人に聞く。「この問題、解ける人いる?」ってね。大人の世界はカンニングOKだから。笑

角田: 「頭脳を結集させる」ですね。

只石: そう。だから負けないよね。そういう意味では、自分の頭で考えることを諦められているのが僕の強みであって、頭が悪くて本当によかったと思っているよ。

角田: 確かに、自分の頭で考えることにこだわってしまうところがあるように思います。

只石: 自分の力で何とかしてきたからこそ、これも何とかなるって思ってしまいがちなんだよね。本当に何ともならない状況になっても、そこにしがみついてしまったりして。そういうプライドが、僕には全くないんだよね。だから、いろんな人に会うし本も沢山読むけれど、結局のところ一番の人生の学びは、ホストをやってダメだったときに「自分の力でなんとかしようとこだわったってうまくいかない、無駄なプライドが邪魔してはいけない」と気付けたことなんだと思う。

角田: ご経験から来る学びなので、すごくリアルですね。

只石: カーネギーって知っているかな。鉄鋼王の。彼が裁判に臨んだときに、鉄工所のタンクの数を聞かれても「タンク係に聞かないとわからない」、トラックの台数を聞かれても「トラック係に聞かないとわからない」、取引先の数を聞かれても「係に聞かないとわからない」。

角田: 普通だったら、「社長何にも知らないじゃん」って思ってしまいますね。

只石: そこで彼が言ったのが、「僕は優秀な人間を使うことしかできないから、今お電話一本いただければ今聞かれた内容全部担当につないで聞きますので」ということだった。「こうなりたい!」って思った。

角田: なるほど。

只石: そうそう。だから、レバレッジでは僕は採用権を持っていない。普通50人くらいの規模のベンチャーなら社長が採用権を持っていて、最終判断は社長がすると思う。でも僕は人を見る目がないから、現場の「この人と働きたい」という人が、僕の採りたい人。VALXの商品も、現場の社員が作りたいモノ。「社長、これを作ることが決まったけどいいよね?」、「いいんじゃない」みたいな。

角田: 社員さんの裁量権、半端ないですね。

只石: 当たり前じゃん。だってマーケティングとか僕は知らないんだもん。社長よりもマーケティングのプロの方が現場では偉いよ。

角田: でも、誰がそれを知っているかは知っているのですよね。

只石: そういうこと!それを任せているメンバーが本当によくやっているし、ただでさえレバレッジには、本気の天才マーケターがいっぱいいるんだけど、その社員に、さらにすごいマーケターをどんどん紹介して知見を吸収してもらっている。それでレベルアップして、またすごいマーケターを紹介するとお互いに教え合う。そうやって、うちのマーケターは本当にたくさんのメーカーやブランドの知見を持っているから、日本でもトップレベルだと思う。

角田: もともと優秀だった人がさらに成長できる環境なのですね。

只石: VALXの責任者も、今は新卒で4年目のメンバーがやっているよ。インターン時代から頭角を出して、入社日にはリーダー就任。翌年にはマネージャー、その後執行役員、それで今VALXの代表。もともと優秀なんだけど、さらに日本最高レベルのマーケターを紹介しているから、どんどん吸収して、伸びまくっているよ。

角田: 4年目ですか…!

只石: 僕がやっていることは、とにかく優秀な人間に会うことと、いろいろな体験をすること。あとは、それをメンバーに話すだけ。モノやサービスを提供するときに、自分が嫌だと思うものを提供したくないから、行ったことない場所に行くとか、高級ホテルに泊まってみるとか、とにかくいろいろな体験をして、そこでの経験や学び、VALXに使えるんじゃないかっていうものを持って帰ってきてメンバーに共有する。あとはみんなが「確かにそうだな」と思えば採用されるし、みんなが「違うな」って思ったなら、もっとうまく見聞きしてこないとなと反省する。 角田君は、山本先生のYoutubeを見ている?

角田: よく見ています!筋トレしようと思ったら必ずあのチャンネルにたどり着くので(笑)

只石: だよね。でも僕、実はあのチャンネルあまり見ない。僕はすごく細かい性格だから、あのチャンネルを見ちゃうと細かいところがいろいろ目についちゃう。「コンセント映りこんでいるよ」とかね(笑) たまにテロップで山本先生の活舌をいじるところも、僕だったら撮りなおしちゃう。筋トレの情報番組なんだから本質じゃないって思ってしまうけれど、実のところああいうくだりがあった方が親しみがあるでしょ?だから、変に見てアドバイスしない方がいいなと思って、全部任せている。

角田: なるほど、そうだったのですね。

只石: たまに自分でもYoutubeの企画案を出してみるけど、大体通らない(笑)うちのYoutube担当がすべて却下してくれるよ。笑

角田: 社長の案であっても担当が通さないのですね。

只石: そういうこと。社長がめちゃくちゃ優秀だったら社長の案が通る会社もあってもいいと思うけど、僕はそうではないと思っているから。僕はYoutubeを死ぬほど見ているような人間でもないし、メンバーには「一般人の1アイデアとして聞いてくれ」って伝えている。だから、向こうも「それ、載せても、再生回数、伸びないですよ」ってバッサリ。でも、それが普通だと思っている。

角田: いわゆる、「風通しの良い会社」ということなのでしょうか。

只石: 「風通しの良い」というより、「理にかなっている」会社だね。僕は会社経営が主たる仕事であって、会社経営が役割分担。Youtubeを見まくっているわけでもないし、Youtubeに関する知恵もないから。それがないのに「You tube、こうしろ!」って言うのは、社長が権力を振りかざしているだけだと思う。

只石社長が東大生に期待すること――失敗を乗り越える「行動」

角田: レバレッジとして、東大生の採用に力を入れているとのことですが、実際に東大生に期待していることはどういったことなのでしょうか。

只石: レバレッジは、今のD2C(Direct to Customer)業界で1番のマーケティング会社だと思う。数字で言っても、年362%成長している会社はほかにないんじゃないかな。1番の会社が1番であり続けるには、経験も絶対的に大事。でもそれは僕がたくさんの人に聞けばいい。でも、頭脳は得られないんだよね。だからこそ、日本一のマーケティングを世界一にするための、最高峰の頭脳が欲しいと思っている。東大生の頭脳で、日本一のマーケティングを世界一にしたい。これが東大生に期待することかな。

角田: 東大生のインターンも7名いらっしゃいますが、どういった印象を受けていますか?

只石: 社会に対してすごく謙虚。悪く言えば引っ込み思案かな。もっと暴れたらいいのにと思う。もっと失敗すればいいのに。

角田: 失敗を恐れずにトライしてほしいということですね。

只石: 自分は期待されているから、うまくいかなかったらよくない、みたいな思考が変なプライドになっていないかが心配。でもやっぱり、東京大学に入学するっていうハードルを越えて、さらに高みを目指したいっていう人には是非来てほしいなと思う。うちはどんなに失敗しても怒る上司はいないし、逆に何も失敗してない人がいたら、それは挑戦していないっていうことになるから。挑戦する人にとって、レバレッジという会社はすごく居心地がいい場所なんだと思う。

角田: インターンにはどんな仕事を任せているのですか?

只石: 例えば、月4,000万円の広告の運用をインターンに任せようと思っている。インターン生に4,000万円を丸投げって、めちゃくちゃ怖いことだと思う。でも、実際にお金をつかって実験できる方が、絶対的に学べることも多い。

角田: すごいですね…。

只石: 地頭がいい人は絶対にポテンシャルを持っているはずだから、それを開花させたいんだよね。だからこそ、「地頭+行動」。失敗を許容できる環境を作ることで、失敗を乗り越えていく行動を実践してもらいたい。学生に最初から両方求めるのは難しいから、地頭のいい学生に行動するチャンスを与えていきたいと思っている。 実際に、VALXの代表を務める4年目のメンバーも、インターンの頃にパーソナルスクールを1校任せるところから始めた。そうしたら、僕としては1校を任せてそれをどう伸ばすか見るつもりだったのに、彼は半年で13校まで増やしていた。「だってその方が通いやすいじゃないですか」って。確かにオペレーションは難しくなるけど、彼はそれをやり切ったから評価された。 地頭+失敗を恐れずやり切る行動力。この二つが重なった東大生は最強だと思うな。だから、ラクロス部のみんなも行動して失敗を乗り越えていくことに学生生活で挑戦してほしいなと思っている。

角田: その姿勢で取り組めば、チームの勝利にも繋がりますね。

只石: 練習の中での試行錯誤とかね。2021シーズン、戦績がよくなかったと聞いたけど、それによって学んだことや、気付いたこともあるでしょ?中途半端な結果じゃなくて、負けたことで真剣に向き合って気づけることが沢山あると思う。

角田: 間違いないです。

只石: そういう失敗は全部許容する。でも全責任は自分たちにあって、負けた理由も全部自分たちにある。そこで次に何をするか?どうやるか?という行動が生まれてくる。それが地頭と行動の融合になれば、最終的には「あの時あれだけ負けたこともよかった」と言えるようになるんだよ。

角田: 社長のご経験を伺ったので、とても説得力がありますね。僕らもこれからさらに頑張っていきます。 本日はありがとうございました!