『仲間』
2024/8/19
【2024Fブログ企画 vol.7】 池田 高啓 (1年/PL)
今でもよく、初めてクロスを握った日のことを鮮明に思い出す。
新歓でうまく言いくるめられて参加した初めての練習。グラウンドで感じた熱気、底抜けに明るくて元気な先輩たちの姿は、自分がここを新たな居場所に選ぶ理由として十分すぎた。
人生で素直に運命に従えるのも、あと数えるくらいなんだろうな、なんて考えた時、もう気持ちは固まっていた。
そうして入部した次の日から、駒場の壁が第2の家になった。日に日に上達し、仲間が増え、先輩を知り、どんどん世界が広がっていくのが楽しかった。
40人を超える大所帯で始まったBB40期は、いつでも賑やかだった。壁打ちしながら駄弁ったり、奢りを賭けて盛り上がったり、授業を抜けてグラウンドに集まったりする何気ない日常は、一人暮らしの寂しさを紛らわせてくれた。そう間違いなく俺たちはラクロスを楽しんでいた。
そんな中迎えた五月祭試合。自分たちのラクロスに自信を持って臨んだvs一橋。結果は惨敗そのものだった。ミーティングで涙を堪えている仲間たちを見て俺も涙が止まらなかった。
それからというもの、俺たち40期は練習試合に全て引き分け、1度も勝ち切ることはできなかった。
徐々にサマーが近づき、緊張感も増してきた8月頭の合宿は、40期にとってとても大きなインパクトだった。合宿期間中の練習試合で初勝利を収めたのだ!何より相手は強豪の法政、これは嬉しかった。朝から晩までグラウンドを走り回っているうちに、みんなの熱量は最高潮に達し、自信に満ちた素晴らしい雰囲気で合宿を終えた。
しかしそんな自信もすぐにへし折られた。優勝するぞと意気込んだフレッシュマンカップで1勝もできなかった時は流石に言葉が出てこなかった。
でも俺たちはもう前を向いている。負けたことは仕方ない。弱いチームなのは仕方ない。サマーでやり返すには前に進むしかない。
コーチの緊急ミーティングで引き締まった俺たちは、日中のほぼ全てをラクロスに費やし、発展の量を格段に増やし、練習の強度にさらにこだわって今出来ることをとことんやってきた。
だがなぜか、「サマー優勝」という大きな目標の前に、不安を隠しきれない自分がいる。
そんな自分に今投げかけたい言葉がある。それは、
「誰かのために頑張れる人は強い」
という恩師の言葉だ。
チームメイト、コーチ、いつも応援してくれた家族。高校生の俺が試合で勝利に拘ってきた理由は、紛れもなく仲間や家族と喜びあって、感謝を伝えるためだった。これはBBに入っても変わらない。
仲間無くして俺はラクロスの本当の楽しさに気づけてはいないし、
仲間無くしてこんなにも濃く、青い4ヶ月半を送れてはいない。
仲間無くして、きっとこんなにも本気になってラクロスに向き合っている自分はいないだろう。
俺はラクロスを初めて、同期と共有してきたたくさんの時間と思い出が最大の宝物だし、自信の源だ。
明日、試合開始の時間になったら、いつものように大きく3回ジャンプしてコートに入ろう。ビデオカメラ越しの家族が気づいてくれる。
FOに入ったら、一度目を瞑ってBBでの日々を思い出そう。きっと自慢の同期、頼もしいコーチ達、カッコいい先輩達が力を貸してくれる。
そして証明しよう、俺たちの日々と努力が間違っていなかったということを。
そうすればきっと、俺たちが正真正銘のチームだって胸を張って言えるはずだ。
1年 池田高啓