2018 column



『成長し続ける』 4年MF#8 原崇文


2018/10/13


俺は1年生の途中からずっと怪我を繰り返していた。ようやくプレーに復帰できたのは3年生の5月で、Aチームに定着している同期もいる中、自分はCチームにいることにすごく焦っていた。自分がどうやって上手くなるか、何を武器にすれば周りを蹴落とせるか。そんなことしか考えていなかった。当然後輩の成長を考える余裕はなかった。

シーズンの途中でBチームに上がり、幹部を任せてもらった。幹部になってからは周りに干渉しなければという意識を持つようになったが、やはり自分の成長が優先順位としては上だった。

Bリーグが始まってから、自分以外の幹部がみんなAチームに上がって、自分がBチームを引っ張っていくことになった。自分の中で転機となった試合が二つある。一つ目は、初めて主将として迎えたBリーグの予選ブロックでの早稲田戦。自分は活躍できなかったけれど、チームが勝てたことに喜びを感じた。その時から徐々に、自分のプレーの出来だけではなく、チームの勝敗に責任を持つ必要があると考えるようになった。

二つ目の転機はBリーグ全日決勝戦。優勝した瞬間にここまで来られたことへの感謝の気持ちが突然降ってきた。全日優勝は、決して自分だけの力ではなく、Bチームの選手はもちろん、部の選手全員、チームスタッフ、コーチ、OBOGの方々、そして家族、自分の周りのすべての人のおかげだと思った。

向田さん 挿入

昨年の同期ミーティングで学生コーチを作ることはすでに決まっていたけれど、その時はプレイヤーを続けたいと思っていた。しかし、昨年末にさとしゅん(*1)と堀さん(*2)から学生コーチをやってほしいと打診された。どうしようか悩み、先輩にたくさん相談して、プレイヤーを続けたいのであればその思いをしっかり伝えた方が良いと言われた。アドバイスを受け、さとしゅんと堀さんにプレイヤーを続けたいというプレゼンをして、それでも学生コーチになってほしいと言うのであればコーチに転向すると伝えた。年明けになって、さとしゅんは、「原は選手一人一人のことをよく見ているし、他人のこともしっかりと考えられる。そういうところが学生コーチに向いていると俺は思う。」と言って再打診してくれた。その再打診を受けて引き受けると答え、やるからには絶対に後悔のないようにしようと思った。


それでも、初めの2ヶ月くらいはプレイヤーを続けることに後ろ髪を引かれる思いで、なかなか気持ちを切り替えられなかった。時間が解決してくれた部分も大きいが、Aチームに上がった選手からお礼を言われてやりがいを感じることができ、徐々に気持ちが切り替わっていった。また、悩んでいる時に山さん(*3)から、コーチの人を見る力がチームの力であり、コーチの成長がチームの成長につながる、と言われた。プレイヤーと違って目に見える形では成長が現れないけれど、コーチになってからも成長はできる。コーチの奥深さに気付かされた瞬間だった。

コーチをやるには、例えば話す・聞くスキルや他人を受け入れることみたいな、人としてのスキルが必要になる。コーチになってから人としてのあり方をすごく考えて、成長できたと思う。今は、コーチを任せてくれたさとしゅんと堀さんには感謝しかない。
(*1 31期(4年)LG#56佐藤隼。2018年度主将。)
(*2 29期堀友洋。2018年度ヘッドコーチ、2017年度Bチームヘッドコーチ。)
(*3 23期山下尚志。2016年度ヘッドコーチ。)

1%の努力

下級生は4年生に比べて、時間が多く残されていると思っているからか、自分ができることに上限を決めて、それ以上のことはやろうとしないように感じる。自主練に時間を割けないことに言い訳をするけれど、それは自分がもし4年生でBチームにいて、Aチームに何としても上がらないといけないという状況でもできる言い訳なのか。今自分ができること以上のことをやるかどうかで1年後、2年後が変わってくる。

毎日同じことをやる人の努力量を1として、毎日1.01のことをやる人と0.99のことをやる人がいるとする。1.01の人は毎日、前日に比べて1%多くのことをやる。たった1%の差でも、それが1年積み重なると1.01^365=37.8になる。逆に、毎日1%ずつサボっていく人は、1年後には0.99^365=0.026になる。1か月ではそんなに差が出ないから1%の努力をサボりたくなるけれど、その日決めたことより1%多くやるか1%サボるかで1年後にはとんでもない差がつく。今、1.01のことをやれているのがAチームにいる人、0.99のことしかやらないのがBチームにいる人で、この差がさらなる差を生んでしまっている。Bチームの選手にも、1.01のことをやれるようになってほしい。もっと効率の良い方法がないか、と思うこともあるかもしれない。でも、自分の意識と行動を変えて、地道に努力する以外に上手くなる方法はない。

向田さん 挿入

自分がリーグ戦に出られなかったからこそ、今同じ状況で苦しんでいる選手に寄り添ってあげたい。俺はコーチになったことを後悔してはいないけれど、今プレーしている選手には、プレイヤーとして成功を収めてほしいと強く思う。下級生には、4年生になった時にもったいない時期だったと思わないような時間の過ごし方をしてほしい。

きっと下級生のうちは先輩からこう言われても、頭ではわかっているが実感がわかないかもしれない。残された時間が短くなるにつれて先輩の思いがわかるようになるのだろう。それが難しいところではあるけれど、後輩に思いが伝わることを願って、諦めずに言い続けるしかない。

向田さん 挿入

俺は普段コーチとして選手に厳しく接していると思う。プレー中もそれ以外でもやってはいけないことをきちんと示す必要があるし、課題を与えて強制しないと選手が怠けてしまうから。怒られた選手は自分を否定されたように感じるかもしれない。でも、コーチはその選手が嫌いだから怒っているわけじゃない。4年生になった時、学生日本一に貢献できる選手になっていてほしいから厳しく言っている。まだまだだと思う部分は多いけれど、たくさん怒ってきている分みんなのことは可愛くて仕方ない。Bチームの選手はみんな俺の宝だ。

向田さん 挿入

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