2017 column vol3



3年G#3 大嶋省吾


2017/9/1

向田さん 挿入

転機
転機は今年の双青戦(*1)だった。
勝てると思って臨んだ試合だった。正直そんなに大事な試合とは思っていなかった。途中まではリードしていたのに終盤追いつかれて延長戦までいって、オーバータイムで俺が決勝点を決められた。打ち上げなんてする気にはなれず、1人で勝手に新幹線で東京に帰った。その新幹線の中でずっと考えた。敗戦について、今までのこと、そしてこれからのこと。そこで気づいたのは、俺は、チームの足を引っ張らないようにっていう低い目線で過ごしていたということ。
哲朗さん(*2)の代わりに俺がこのチームを勝たせるんだ、そう誓ったはずだった。それまでは哲朗さんが1本目でいて、俺が2本目でっていう立場だったから、どこかで2本目の立ち位置に甘んじている部分があった。試合のスタートや大事な場面では哲朗さんが試合に出て、俺が試合に出られるのは大差がついているときか流れを変えたいときだから、勝敗に関わるところで俺が出ることはないだろうって気持ちがどこかにあったと思う。でも哲朗さんが怪我をした時、そういう甘い考え方を捨てて俺がこのチームを勝たせる、そう決意したはずだった。< br>
しかし、スタメンで出場した東商戦(*3)に敗れ、そこから伸び悩む中で、いつからか俺はチームの足を引っ張らないように、敗因にならないようにと考えるようになっていた。厳しい勝負の世界から逃げていた。勝敗の責任を背負うことから逃げていた。なんて薄っぺらい決意だろうか。自分が情けなく、恥ずかしくなった。このままリーグ戦で負けてしまったら、チームのみんなや応援してくれる方にはきっと、哲朗さんだったら勝ててたって思われるんだろうなって思った。新幹線の中で、負けさせない、じゃなくて、俺が勝たせるんだ、ともう一度決意を固めた。それまでよりさらに1回1回の練習を大事にするようになったし、1球1球にこだわるようになった。

(*1 毎年行われる京都大学との定期戦。2017年度は京都大学にて行われた。)
(*2 30期(4年)G#2菊地哲朗。2017年度主将。)
(*3 例年6月に行われる一橋大学との定期戦。)

向田さん 挿入

こだわるということ
こだわりを持って全力を注ぐのは日々の正規練だけじゃない。今はAチームなら週5日4時間の正規練がある。それは週24×7=168時間のうちたった20時間でしかない。それ以外の自主練の時間、食事や日々の生活もどれだけ妥協せずやれるかが重要だと思う。その部分での取り組みも大きく変わった。例えばうたた寝してしまって自主練でグラウンドが使える時間の5分前に起きたとする。去年だったら自分に甘えて行かなかっただろう。でも今は「この自主練で得た気付きでもっと上手くなれるかもしれないのに甘えていいのか。この自主練サボったせいで負けてお前は後悔しないのか。」って自分に問いかけるようになった。他にも、食事やコンディション管理に気を遣うとか、道具を大切にするとか、些細なルールもしっかり守る、とか。今はそういうところまで妥協せずにやりたいと思っている。これらは全部、100%の状態で本番に臨むためのものだ。

もちろん面倒くさいなって思うときも、甘えたくなるときもある。でも、そこを妥協しないでちゃんとやったっていう自覚があると胸を張っていられる。それだけじゃなくて、俺は結構気が小さいからやるべきことをやらなかったせいでミスしたり試合に負けたりするのが怖くてやってるって部分もあるんだけれど。不安要素を消して、潰して、それでも緊張するし、ミスは怖い。でも、あれをやってない、あんなことしちゃったって後ろめたい気持ちを持ってゴールマウスに立つのか、妥協せずにやれることをやったって自信と共に立つのか。それだけでもパフォーマンスは違ってくるんじゃないかと思う。

向田さん 挿入

今シーズンに懸ける想い
俺が入部当初から持っていた目標として、日本代表になりたい、というのがあった。今シーズンの初めも、その目標に向けてどうするかを考えて日々の練習や自主練に取り組んでいた。しかしAチームに上がってプレーするうちに、このチームで日本一になりたい、この先輩方を日本一にしたいという気持ちの方が大きくなっていった。去年の俺は、結局自分のことしか考えてなかったんだと思った。チームの勝利のためにという気持ちでいる方が、日々妥協せずに過ごすことができた。今は日本代表という個人の名誉よりも、このチームで日本一になることの方がはるかに魅力的に感じる。< br>
30期の方々には、1人1人に対しての強い想いがある。なんとしても勝ちたい、勝たせたい、一緒に喜びを分かち合いたいって心の底から思う。こんなに強くそう思える先輩に出会えたのは初めてだから、絶対に一緒に日本一になりたい。今シーズンの終わりまで死ぬ気でやり切って燃え尽きたい。

向田さん 挿入

リーグ戦が始まってここまで2戦やったけど、やっぱり4年生は頼りになるなって思った。点を取ってるのは4年生ばかりだし、DFも祐輔さん(*4)、藤野さん(*5)に助けられている部分は大きい。逆に同期に対しては、もっとやれるんじゃないか、やらなきゃダメなんじゃないかって思う。今シーズンの始めは俺たちが頑張らないとって話を散々したけれど、蓋を開けてみたら4年生に頼ってしまっている。自分も含め3年生は勝利に貢献できていないから、ここからさらに上手くなっていかなきゃいけない。それは試合に出てる2年生も一緒だ。今年にかける想いが4年生に負けているようではきっと足を引っ張ることになってしまう。もっと本気になれるんじゃないのかって自分を見つめ直してほしい。

(*4 30期(4年)LG#5佐藤祐輔。2017年度DF長。)
(*5 30期(4年)LG#34藤野勇志。)

向田さん 挿入

日本一へ
BLUE BULLETSの目指す日本一という目標は、頑張っても頑張っても手が届かないかもしれないものだ。現状に満足したら終わりで、常に変化し続けなくてはならない。去年の俺は自分の甘さに気づかず取り組みに満足し、成長できなかった。でも今年は、数々のきっかけのおかげで変わることができた。思えば、去年だって変わるチャンスはいくらでもあった。しかし俺はそれを活かすことができなかった。

東大のモチベーションビデオの中に、とても印象に残っている言葉がある。
「全ての未来は必ず、それまでの過程の先にあるものだから。覚悟とは、困難に立ち向かう勇気でも、何かを諦める決断でもなく、この一瞬一瞬のすべてが、そのまま結果に繋がるのだという事を認めることなのでしょう。」
これを見たり思い出したりするたびにはっとさせられる。俺はこの「覚悟」を持てているのか。一瞬一瞬のすべてを大事にできているのか。やったつもりで慢心してないか。

きっと去年の俺が変わるチャンスを逃したのは、「覚悟」がなかったからだ。一瞬一瞬が結果と繋がっているという考えがなければ、訪れたチャンスにさえ気づけない。一回の練習、自主練の中にも成長のためのチャンスはゴロゴロ転がっているのかもしれない。それを掴み取るには、1本のシュート、1本のパス、1つのGBをおろそかにせずにこだわらなくてはならない。

本気で日本一を目指す先輩方を近くで見て、そして1本目になって、気づけたことがたくさんあった。きっと東大に入ってラクロスというスポーツに出会ったこと、そして尊敬できる先輩方、同期や後輩に出会ったことも、神様が与えてくれた変わるためのチャンスなのだろう。それを本当の意味で活かせるかは自分次第だ。

今シーズンの終わりまであと4ヶ月弱、変わるチャンスはまだいくらでも用意されている。俺たちはまだ強くなれる。チャンスを逃さず強くなってやろう。俺だって最後の最後まで成長してやる。哲朗さんだったら勝てたなんて言わせない。大嶋だったから勝てたって言わせてやりたい。もうチームの勝敗を背負う責任から逃げたりはしない。「覚悟」を胸に俺が最後までゴールを守り続ける。そして俺がこのチームを日本一にする。

向田さん 挿入

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