2017 column vol2



4年G#12 一ノ瀬幹司


2017/8/14

向田さん 挿入

4年生になって

4年生になってみて、気づいたことがたくさんあった。4年生になってみないとわからなかったことがたくさんあった。

今年の初め、菊地(*1)から投げかけられた「自分がラクロスをしている意味、そこにかける思いは何なのか」という問に俺はすぐ答えを出すことができなかった。2、3ヶ月考えてもわからなくて、そもそもラクロスの映像見るのもあまり好きではないし、ラクロスするのは楽しいけど、何でなのかっていうのがわからなかった。

考え続けて、4月くらいにやっと気づいた。俺は勝負するのが好きだ。強い相手と勝負して勝つ瞬間が一番好きだし、魂が燃える。それはゴーリーになった理由とも繋がっていて、ゴーリーは目の前のシュートとの勝負の連続だし、一瞬一瞬が常に勝負の瞬間。だから俺はラクロスをしている。いつも、もっともっと強い相手と戦いたいって思う

向田さん 挿入

育成プロジェクト(*2)に参加したのも、4年としてチームに何か働きかけたいと思ったのがきっかけだった。
幹部とかと自分を比べてラクロスについて考えている次元がだいぶ違うなと感じて、じゃあ自分はそれとは何か違うベクトルで行動しようと思って参加した。俺は2、3年生の頃とか辛い時期が多かったし、そういうときに上級生に色々言ってほしかったなと思う部分があるから、自分が4年生になった今、できるだけ下級生に声をかけてやりたいと思うし、後輩には頼ってほしいなと思う。チーム全体を変えるのは難しいけど、1対1で直接働きかけたら何か変わるかもしれない。そうやって働きかけたやつがちょっとでも変わったのを見たら嬉しいし、そいつが上級生になったときに後輩に対して同じように接してくれたらいいなと思う。

(*1 30期(4年)G#2菊地哲朗。2017年度主将。)
(*2 17シーズンで行われた1年生育成プロジェクト。一ノ瀬はこのプロジェクトのリーダーを務めた。)

向田さん 挿入

うまくいかないとき

ラクロスを続けていて、辛いことは多い。辛いな、嫌だなって思うこともたくさんあるけど、辛い時でもやるってことが大事だと思っている。考えて、迷って、立ち止まってしまうくらいならやる。とにかく行動する。やってみて初めてわかることもあるし、それが次のステップにつながる。そしてそれを続けてほしい。続けることが自信になるから。うまくいくために必要なのは、自信だと思う。

向田さん 挿入

自信について考えたとき、ROOKIESの「道を切り拓くものは自信と勇気だ」っていう言葉が思い浮かんだ。自信って、”自分を信じる”って文字通り自分でしかつけられなくて、実力がある上で成功体験を積むことで重ねていくものだと思う。もちろん、自信なんか無いって感じることもあると思う。でも、ちょっとした変化でいい。練習して実力をつけて、それでも自信が無いと感じるなら、自分の中でハードルを下げて、成功体験を積めばいい。成功したっていう体験は自信に繋がるから。勇気だって、小さなことでいい。昨日の自分から変化する勇気、自分がボールを持ったとき、相手と向かい合ったとき勝負する勇気。自分がちょっと変わればいい。

そうやって自信をつけて、困難を乗り越えていく方法を知っていると、4年生になったり自分の悩みが重くなったりしたときに役に立つ。どんな困難でも最後に立ち向かって乗り越えるのは自分自身だから。

向田さん 挿入

菊地への想い

菊地が3年主将(*3)に決まったとき、正直嫌だった。来年主将になるから菊地を試合に出そうとか、実力以外のところで差をつけられるんじゃないかって思ったから。去年の五月祭(*4)もリーグ戦も、菊地が試合に出ているのを見るのが辛かった。その上菊地はU22日本代表にも選ばれて、どんどん引き離されていくような気がした。俺だって上手いのに。ずっとそう思ってた。

4年になって、どうしたら自分が試合に出られるかを考えたときに、菊地と同じようなゴーリーになってもだめだと思った。だから、他の人がやらないような駆け引きの練習をしたり、近距離からのシュートを止める練習ばかりしたり、左手を使う練習をしたりした。そういう風に考えても、やっぱり東大の試合やU22で活躍する菊地を見て、ああ、また今年も試合には出られないのかなって思うこともあった。

でも、同期ミーティングで菊地の考えを聞いたり、チーム作りのために奔走する菊地の姿を見たりして、俺は自分のことしか考えてなかったってことに気づいた。それまでは菊地に勝てなくても、あいつは主将だから、と理由付けをして現実から目を背けようとしてきた。主将の2本目のゴーリーとしてやっていく覚悟が足りなかった。そのことに気づいてからは、俺が菊地の一番の理解者になろうと思ってやってきた。主将としても、ゴーリーとしても。あいつの手が回らないところは俺がサポートしようとしてきた。

そんな中で、4月にBチームに落とされたとき、「俺の後に控えて、流れを変えるゴーリーになってほしい」と言われた。俺の得意分野やチームの状況を考えたら、確かにそれはベストだったかもしれないけど、納得できなかった。でも1ヶ月Bチームでプレーするうちに考えが変わってきた。菊地の実力は信頼できるし、1本目を任せられる。俺が菊地に勝って1本目になろうとするよりも、途中から試合に出て結果を出す力や、ベンチワークを磨いた方が東大ゴーリーとして最強になれるんじゃないか。2人で1本のゴーリーになろう。そう思って、最強の2本目になると決めた。

そう決意してAチームでプレーしていた矢先、またBチームに落とされて五月祭にも出られなかった。理想とかけ離れて行く自分にどうすればいいかわからなかった。追い討ちをかけるように菊地が怪我をした。大きな怪我をしたことがなかった俺にはかける言葉が見つからなかった。それでも、菊地はチーム全体が見られていいと言って前を向いていた。1番辛いはずの菊地が前を向いているんだからこのまま悩んでるわけにはいかない。俺にできることは、あいつの想いも背負って上手くなること、試合に勝つことだと思い、今度は何本目とか関係無く最強のゴーリーになると決意した。

今菊地に対して思うことは1日でも早く復帰してほしいということ。主将がフィールドにいる方がチームが締まるからとか経験豊富なゴーリーがいてほしいからとか色々理由はあるけど、1番は同じフィールドに立って一緒にラクロスをしたいから。振り返ってみると、菊地と一緒に練習や試合をした期間は結構短い。去年の終わりと今年の初めくらい。その期間が1番楽しかったように思う。もう一度菊地と一緒にプレーがしたい。だからその時まで、東大のゴールを守り続ける。勝って勝って勝ち続けて、菊地を日本一の主将にする。

(*3 BLUE BULLETSでは2014年度から2017年度に至るまで、3年生の時点で次年度主将を選出している。)
(*4 東京大学本郷キャンパスで毎年5月に行われる学園祭「五月祭」に際して、例年早稲田大学との定期戦を行なっている。)

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