2014 column vol2



4年 副将 MF#4 室井 啓介


2014/10/2

向田さん 挿入

「走り勝つ」
「最後まで走れるチームがいい」―13シーズンが終わって部活生活最後の年を迎えるにあたり、都外川(*1)とチームについてああでもない、こうでもないと話した結果、それが今年のチーム作りの軸になった。「走り勝つ」っていう言葉はすごくシンプルで、今までのチームスピリットとは毛色が違うから、とまどった部員もいたかもしれない。その中で、このシンプルな言葉をチームスピリットにした理由の一つは、言葉に解釈を色々足して、その分意味が薄れてしまうのが嫌だったから。
そしてもう一つは、走ることはあらゆるスポーツの基本だと思ったから。ラクロスに限らず、スポーツに取り組む以上、走ることに真正面から向き合いたかった。走れなくなると、あと一歩が出ないだけでキャッチミスしてしまったり、簡単なプッシュでよろけてしまったり、プレーのクオリティに直接悪影響を与えると思う。それは個人のメンタルを損なうし、チームの勢いを失速させる。
粘り強く、勝負強いチームというのは、共通して最後まで走り抜くだけの体力・気力を兼ね備えていると思った。そういったチームにしたいという思いが強かった。
だからこの言葉が出てきた時、直感的にいいなって思ったけど、同時に不安に思うこともあった。この目標に全員ちゃんとついてこれんのかなって。でも、自分勝手かもしれないけど、天井を下げるくらいなら、そいつらの分も俺が走って引っ張ればいいって思った。俺が走って「走り勝つ」を体現できればいい。俺は観客を沸かせるようなプレーはできないけど、質の高い走りをする自信はある。自分が一番得意なものをかかげて、キツいやつらの分まで俺が走ればチームとして力を失うことはないだろう、と考えた。

(*1 27期(4年)MF#69都外川識志。2014年度主将。)

向田さん 挿入

変わらないラクロス軸を
チームスピリットや戦術は毎年のチームに合わせて変わっていい。でも、一年から四年までラクロスをする上で、大事にするものは何かって聞かれたら、「○○です!」って答えるものがあるチームは、芯があっていいなと思って、そういうものを作りたかった。そういうものがあれば、新しくチーム作りをする時も、0からのスタートじゃなくなる。だから、オフェンス、ディフェンス共に、今後何年かを通して大事にしてほしい概念を導入した。夏までは、練習試合でも勝てなかったけど、自分たちのやっていることが間違っているとは思わなくて、むしろ、やると決めたことを実行する能力に欠けていただけだと思う。幹部が自分で実行するのも大事だけど、他のやつにやらせることも大事。逆に言えば、やると決めたことを全員が実行できれば、必ず勝てる。

向田さん 挿入

無事是名馬
今年、もし俺が怪我をしたら、俺はもちろん、チームも終わると思っていた。俺が一番走ればいい、と思ってチームスピリットを決めた以上、俺が走れない事態は避けなきゃいけない。もちろん、100%怪我のリスクをなくすことはできないけど、限りなくその可能性を減らすことはできると思う。
去年は自分も含め幹部の怪我が多くて、ある練習試合では、試合が終わったときフィールドに立っていた幹部は主将一人だけだったこともあった。幹部が練習や試合にいない状況はチームの力を損なうってことを痛いほど思い知った。

だから今年は、徹底して怪我の予防に努めた。練習中だけケアをしても、ラクロスをしていない残りの時間で気を抜いたらその付けが回ってくる。だから普段サンダルやクロックスは極力履かず、アーチができるランニングシューズを履く。ダウンは必ずペアストレッチ。オフ期間中は筋肥大と並行して、関節周りや末端の方の細かい筋肉も鍛えた。怪我の予防になると三枝さん(*2)に教えてもらったから。アイシングは毎回10個近く頼む。効果があるのか疑問に思うこともあったけど、結局今年はアウトするような怪我はほとんどしていない。なにより自分の体のケアに対する意識が変わったのは良かった。

シーズンの大部分を怪我抱えながら過ごした去年と、今のところ順調にきている今年を比べて思うのは、怪我を予防することは治すことよりはるかにローコストだということ。
怪我をしていてもできることは確かにあるけど、それは健康時に比べれば大したことない。怪我で成長スピードを落とすことは、非常にもったいないと思う。

(*2 三枝剛アスレチックトレーナー。)

向田さん 挿入

「FINAL4への想い」
年目のリーグ戦もついに最終戦を迎える。
ここまで振り返ると、早稲田と引き分けた試合(*3)も、点差をつけて勝った東海戦(*4)も、疲労度では大差ない。俺は早稲田や東海、一橋、立教に知り合いが結構いて、そいつらが本気でこっちの首を取りに来るっていうのは正直怖い。立教が東大に負けてFINAL4出場が絶たれた(*5)みたいに、リーグ戦で勝つことは、相手の4年間に終止符を打つことでもあるから、かなりエネルギーがいるし、やっぱりただの練習試合とは別物でしんどい。そういうところに、リーグ戦の重みを感じる。

まだ東大は理科大戦を控えているが、現時点で関東プレーオフへの出場が決まっている。
今年の目標は「学生王者」。その意味ではチームにとってFINAL4、FINALはあくまで通過点なのは間違いない。でも、俺個人としてはまずFINALの舞台で戦うことに意味がある。11のFINAL(*6)後の飲み会で、24期の美貴さん(*7)が「FINALの舞台で早稲田と戦っている選手たちを見て私たちはこの試合のためにこの4年間戦ってきたんだなってしみじみ思った。」って言っていたのが未だにすごく印象に残っている。そんな風に思える試合に巡り合えるってとても幸せなことだな、と思った。そして、それはFINALだから感じたことで、あの舞台で戦った人にしかわからないし、見た人にしか伝わらないと思った。

向田さん 挿入

去年も一昨年も、東大はFINAL4で負けた。だから、28期、29期はFINAL4までしか知らない。今のBLUE BULLETSでFINALの舞台を知っているのは27期だけ。
ただプレーオフに進むのと、そこで一勝するのとでは、間に大きな壁があると思う。俺たちが今年行かないと、後が続かなくなるんじゃないかっていう義務感がある。余計なお世話かもしれないけど。でも、それは決して嫌な類の義務感ではなくて、むしろ俺の原動力になっている。後輩をFINALに連れて行くことで、今後自分たちが到達しなきゃいけないレベルを実感する機会を与えたい。そして、来年以降に引き継いでいって欲しい。

こんな風に、最後だからか、色々と思うところはあるけど、いざFINAL4やFINALを迎えたら、結局は自分のために戦うんだろうなと思う。勝てば先に進み、負けたら引退。ものすごくシンプルだけど、自分は過去2年、この一発勝負の場で何もできず、先輩たちが引退していくのを見てきた。あの舞台に戻れることにすごく感謝しているし、これまでの借りを返したくて仕方がない。自分の大学生活を一言で表すならラクロスだけど、自分の4年間全て懸けて注ぎ込んだそのラクロスで最後負けて終るっていうのは、絶対耐えられない。スポーツやっている奴は皆そうだと思うけど、負けず嫌いなので。

3度目の正直。必ず学生王者になる。

(*3 2014年度リーグ戦vs早稲田戦。5-5で引き分けた。)
(*4 2014年度リーグ戦vs東海戦。12-3で勝利。)
(*5 2014年度リーグ戦vs立教戦。7-4で勝利し、この試合で東大のプレーオフ進出が決まった。)
(*6 2011年度関東学生リーグ決勝戦(通称FINAL)vs早稲田戦。後半終了時5-5で引き分けだったが、オーバータイムで失点し5-6で敗北。)
(*7 24期MG福田美貴。)

向田さん 挿入

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