『勝負に挑む精神』
2010/10/09
いよいよ慶應戦です。
今年のチーム目標を「学生王者」と掲げたときそれは部員の誰もが慶應を倒すことをイメージしたと思います。
リーグ戦のブロック分けが発表されたとき、リーグ戦とFINALとで慶應を二度倒せば東大の本当の強さが確実になるなぁ、なんて考えていました。
しかし現在の状況は、東大が慶應に勝てば、慶應はリーグ戦敗退となり、4年生は引退です。
ここからが本題です。
よく「敵に敬意を払え」と言いますが、正直ぼくは去年までこの概念に対してただのきれいごとというか、きれいごととしたってよく理解できない、具体的な意味が全くわからないという感覚でした。
しかし今年になってその意味がよくわかりました。
9月19日に早稲田と戦ったときのことです。
早稲田は初戦で明治学院と引き分けていたので、まず僕らに勝たないとFINAL4進出はかなり遠のく状況でした。
僕は早稲田に仲の良い選手がたくさんいます。
僕らが勝つことで彼らはほぼ引退が決まるのかと考えると、とても切ない気持ちになりました。
彼らの4年間はこんな簡単に終わるのか、とか
僕はこの4年間、東大ラクロス部で、最強に濃い時間を過ごしてきました。
東大ラクロス部が世界の中心で、その周りを他のチームが衛星のように取り巻きながら世界全体がゆっくり回っているというような感覚です。
すべてが自分基準というかなんというか。(なんとなくわかりますか?笑)
しかしそれは他のチームにとっても全く同じことで、
早稲田の4年生も慶應の4年生も、ラクロス部に入部し、新人戦から始まり、いま4年めのリーグ戦を迎えていて、
その途中には毎年夏合宿とかあったり、なんか協会関連とかで不祥事を起こしたかもしれないし
そういう、とても濃い4年間を過ごしてきて、当然その世界の中心は彼らであって、東大はただの衛星のひとつにすぎない。
自分が世界の中心にいるから、
「自分たちはここまでこれだけ頑張ってきたんだ。絶対に勝てるんだろう。」とみんな不安を抱えつつも、
しかし漠然とそういう感覚を持っているもんだと思うわけです。
結局、勝負っていうのはお互いの世界と世界のぶつかり合いなんです。
「敵に敬意を払う」というのは、
その相手の世界に想いを馳せる
ということなんだと思います。
それが相手に対する同情であろうが、畏敬の念であろうが、相手の世界を想い、そして自分の世界を想い返すと、それはもう、絶対に負けられない!負けてたまるか!!という強い気持ちがどんどん膨らんでくるわけです。
ここから先の試合は全て、自分たちが倒した相手が引退します。
自分のこの世界が、相手の世界をひとつひとつ飲み込んでいくわけです。
だからこそ絶対全力で、真っ向勝負しなければならないんです。
そうか、僕にとって「相手に敬意を払う」ということは勝負に臨むために一番必要な精神だったのか。。
慶應には、負けられません。
2010年度 OF長 4年MF#9 茂木努 『勝負に挑む精神』