『先輩からの言葉』
2004/4/29
新入生のみなさん、合格おめでとうございます。長かった受験生活を終え、今はこれから始まる大学生活に向けて、期待に胸を膨らませていることでしょう。
東京大学ラクロス部を紹介するにあたって、少し僕自身のことについて話したいと思います。
僕の将来の夢は、弁護士になることです。弁護士になって、本当に困っている人の助けとなり、その人の心に一生残るような仕事をしたい。これが、高校のときから変わらず持ち続けている僕の夢です。
そこで大学入学当初も、当然のことながら、その夢を実現するための勉強を優先しようと考えていました。
では、なぜその僕がラクロス部に入ったのか。それは、高校時代の恩師の次のような言葉がきっかけでした。
「豊かな人生を送れるかどうかは、人生においてどれだけ無駄なことをしたかによって決まる」
人生の中で、真に必要なことに関しては、遅かれ早かれ、皆最終的には、やりとげます。
多くの人にとって、それは「勉強」でしょう。そして、また多くの人がその「必要なこと」に気をとられて、無駄のない効率的な人生をおくるようになります。中学時代、高校時代、そして大学時代にしかできないことを犠牲にして…。
夢を実現させるための勉強は何よりも重要です。しかし、大学時代にしかできないことに情熱を傾けることも、それと同じくらい重要であるはずです。
我が東京大学ラクロス部は「日本一」という目標を掲げています。
6年連続で関東学生リーグを制覇している慶應義塾大学
身体能力では他大の追随を許さない日本体育大学
学生での経験に加えて、さらに練習とトレーニングを重ねているクラブチーム
目標達成への道のりは果てしなく遠く険しいものです。先輩達が目標を達成できずに、悔し涙を流しながら引退していく姿をみて三年。厳しい現実を、より一層身に染みて感じるようになりました。
「日本一」という目標には、並大抵の努力では到達できません。多くの仲間と切磋琢磨し、ときには衝突もしながら、限界を何度も何度も越え、その先にようやく見えてくるものだと思います。しかし、それらすべての経験が、自分を鍛え、これからの僕の人生を豊かにしてくれるのだと信じています。
この文章を読む新入生の皆さんが、共に「日本一」を目指す仲間となってくれることを祈っています。
2004年度 17期 井上慧介